水戦争の世紀 モードバーロウ[集英社文庫] 2010年2月27日 土曜日

mizu「水は人類共有の財産なのか」それとも「世界が奪い合う商品なのか」近年開かれた国際会議で「水は商品である」との結論が下され、水は石油同然に商品として注目されるようになった。本書は産業発展に不可欠な水が世界各国の国力に影響を与えることを予言し、水の覇権をめぐる熾烈な国際競争が始まっていると指摘する。特にフランス系メジャーと呼ばれる「スエズ」、「ヴェオリア」の二社はすでに世界2億人以上に給水する民間企業に成長しており、世界の国々が水道事業を第二の石油開発に位置づけようとしていることがわかる。

警官の紋章 佐々木譲 [角川春樹事務所] 2010年1月18日 月曜日

monnshou見事、今年の直木賞に輝いた佐々木譲氏の著書を紹介します。『警官の紋章』はいわゆる北海道警察シリーズの三作品目となる連続もの。北海道警察の裏金問題を暴いた『笑う警官』、警察庁から来た監察官とともに道警の秘密組織を暴く『警察庁から来た男』に続き、今回の舞台も北海道警察。
洞爺湖サミットの準備に追われる道警で、拳銃を所持した警官が突然失踪した。前代未聞の不祥事に道警のとった行動は・・・。非常にリアルな描写に毎回驚かされる。

運命の人 山崎豊子[文藝春秋] 2009年12月28日 月曜日

unnmei著者の山崎豊子さんにとって最後の作品になるかもしれないと言われる『運命の人』が取り上げたのは、毎日新聞の西山記者である。沖縄返還交渉の過程で西山記者が入手した特ダネは時の佐藤栄作政権に衝撃を与えた。沖縄返還に政治生命をかけていた佐藤総理の反撃はすさまじく、秘密を漏えいした女性公務員と西山記者を国家機密漏洩の罪で告訴し、裁判に勝利する。しかし、その裏では明らかに国民を欺く密約があったのだと著者は本書で明らかにする。

             

行方不明者 折原一[文藝春秋] 2009年11月28日 土曜日

yukue埼玉県蓮田市の一家失踪事件の謎を追うフリーライター五十嵐みどりと、戸田市の連続通り魔事件を追う売れない推理作家の「僕」がまったく別の事件を取材しながら交錯していく。折原ワールドはいわゆる叙述ミステリーなので、読者が事件を一緒に解明していくスタイルとは異なり、最後の50ページで大どんでん返しを食らうミステリーだから、シャーロックホームズが好きな読者は苦手かも知れない。しかし、思いっきり著者に騙されたい僕としては最近一番はまっている作家なのだ。

冤罪者 折原一[文春文庫] 2009年10月28日 水曜日

ennzai折原一氏の『〇〇者』シリーズの第一作目となったのが冤罪者だ。連続暴行殺人犯として拘置中の河原が冤罪を晴らすために頼りにしたのが殺害された女性の婚約者であるフリーライターの五十嵐友也だった。
真犯人が別にいる、いや、やっぱり河原の犯行か?読み進むにつ入れて振り回される読者とは裏腹に芸術的折原プロットで「あっ」と驚く結末になる。最後の最後まで「あっ」の連続だから癖になる。ちなみに、『行方不明者』の主人公になる五十嵐みどりが本書から登場しているので、折原ファンには『冤罪者』からの読書をお勧めする。