シャドウ 尾道秀介 [創元推理文庫] 2011年10月7日 金曜日

『カラスの親指』から尾道文学に触れた私が二冊目に読んだ尾道シリーズの『シャドウ』は、期待を裏切らないというより、見事なまでに騙されたい私に衝撃のラストを与えてくれました。母親を失った少年と、少年を育てる父親の話でありながら、父親は一体、正気なのか狂気なのか分からないままの展開に、最後まで息をのみます。精神障害者をとりまく社会問題を取り上げながら、見事なミステリーに仕上がっています。脱帽の一冊。

ガラスの親指 尾道秀介 [講談社] 2011年8月17日 水曜日

『シャドウ』を書いた著者といえば、ピンと来る人が多いかもしれません。なんと僕の一つ上にして「このミステリーがすごい」の常連になっている著者です。本書は3人の詐欺師を主人公にコミカルなタッチで、人生逆転の大仕掛けを見せてくれますが、その顛末はまさに衝撃であり、笑劇であり、ちょっと泣ける劇でもあります。35歳でこんな文章が書ける著者の才能に脱帽する一冊でした。

悪党 石川知裕[朝日新聞出版] 2011年7月25日 月曜日

悪党というから小沢批判の書かと思えば、そうでもない。政治家になりたい一心で小沢秘書になった石川知裕衆議院議員が当時の小沢さんの息づかいを伝えています。よくここまで書けたな!というのが僕の本音。ものぐさな「人間小沢」については批判的に書く一方で、中国大使館とのやり取りなど「政治家小沢」については、その信念の強さを伝えています。人生の天国と地獄を見た著者のふっきれた強さを感じさせる一冊です。

麒麟の翼 東野圭吾[講談社] 2011年7月7日 木曜日

筆者はこの美しき日本橋の麒麟像を見つめて、小説の構成を練ったといわれています。水天宮をはじめ、多くの神社仏閣がビルの谷間に点在する古今織り交ざった街だからこそ起こった事件を巡り、加賀刑事が活躍します。最近ではこの日本橋に羽田空港と海路で結ばれる船着き場が誕生するなど、魅力的な水辺空間としても注目が集まっています。

原発時限爆弾 広瀬隆[ダイヤモンド社] 2011年5月9日 月曜日

「胸騒ぎがする」著者の言葉です。今から半年以上前に震災による原発暴走の予測が、冷却機能の停止、汚染物質の拡散、風評による損害額の膨張にいたるまで記されています。著者は地震源に集中する原発に警鐘を鳴らし、津波による冷却機能の停止を指摘していました。これを読めば、あながち大津波を「想定外」とは呼べない気がします。