制服捜査 佐々木譲 [新潮文庫] 2012年1月26日 木曜日

北海道警の不祥事をテーマに多くの作品を世に出した著者。不祥事への対策として道警が打ち出したのは、警察官の定期的な配置換えでした。しかし、その弊害は主人公が赴任した十勝の農村駐在所でも、犯罪の見過ごしという形で表れていました。駐在警官として地域に目を凝らす主人公が見落とされた犯罪を見抜いていく本書は、現職警官にとっても教科書になるのではないでしょうか。

東京遂に勝てり!1936年ベルリン至急電 鈴木明 [小学館ライブラリー] 2011年11月29日 火曜日

1940年オリンピックの最終選考レースに東京が勝ち残っていたことをご存知でしょうか。国連を脱退し、孤立する日本が最終選考に残るには、関係者の凄まじい理念と情熱が各国を動かしていました。2020年東京オリンピックを目指す都の職員には必見の一冊ではないでしょうか。

決断できない日本 ケビン・メア[文春新書] 2011年10月20日 木曜日

「沖縄の人はゆるりの名人」と発言して、その職を解かれたアメリカ人外交官といえば、思い出す方がいるかもしれません。著者はアメリカ国務省の日本部長を務めていた親日家です。その彼がなぜ沖縄県民を「ゆすりの名人」と発言したのか?本書では、反基地活動家たちの陰謀による「でっちあげ」であると厳しく弾劾し、こうした「でっちあげ」を撥ね返す日米同盟の深化を求めています。日米関係の重要さを気づかせてくれる一冊です。

シャドウ 尾道秀介 [創元推理文庫] 2011年10月7日 金曜日

『カラスの親指』から尾道文学に触れた私が二冊目に読んだ尾道シリーズの『シャドウ』は、期待を裏切らないというより、見事なまでに騙されたい私に衝撃のラストを与えてくれました。母親を失った少年と、少年を育てる父親の話でありながら、父親は一体、正気なのか狂気なのか分からないままの展開に、最後まで息をのみます。精神障害者をとりまく社会問題を取り上げながら、見事なミステリーに仕上がっています。脱帽の一冊。

ガラスの親指 尾道秀介 [講談社] 2011年8月17日 水曜日

『シャドウ』を書いた著者といえば、ピンと来る人が多いかもしれません。なんと僕の一つ上にして「このミステリーがすごい」の常連になっている著者です。本書は3人の詐欺師を主人公にコミカルなタッチで、人生逆転の大仕掛けを見せてくれますが、その顛末はまさに衝撃であり、笑劇であり、ちょっと泣ける劇でもあります。35歳でこんな文章が書ける著者の才能に脱帽する一冊でした。